今日の東野 060

年間100冊読書計画、第60冊目の区切りの本は、

殺人の門 (角川文庫)

殺人の門 (角川文庫)

久々の文庫新刊ということで買った一冊。



600数ページと結構ボリュームがある。
話としては、「宿命」と「白夜行」を足して2で割って+αみたいな感じだと思った。
両作品が好きな人は面白いかも。


テーマは殺意の波動もとい「殺人衝動」。

主人公が子供の頃からの数々の因縁を持つ男(人生の疫病神みたいなもん)倉持修への殺意を温めていく過程を書いた叙事詩
懲りずに倉持に何度もダマされたり、不幸を他人のせいにしたりと、主人公が駄目すぎなところはとりあえず目をつぶる(これ重要


ダマされるたびに殺そうと決意するのだが、土壇場で踏み切れない。
殺人者になりきれない主人公が、「殺人の門」をくぐって最後にどうやって倉持を始末するのかというところが読んでて非常に気になった。
が、「かっとなって(ry」にならんのが不思議。
普通は一回目で縁切るか、サクッと始末するかどっちかだろ、と突っ込みを入れたくなった。


ラストまでが多少冗長に感じたけど、文調が飽きさせない感じなので退屈せずに読めた。
中盤からラストにかけてほぼ予想通りに話が進んでいったのでサプライズは無かったが。
ラストでの主人公の心の動きが面白い。

結末は、「ああ、やっぱり」という感じ。
主人公の心には殺意や憎しみもあったけど、ある種の友情みたいなもんがあったんじゃないかと思ったり。
ある意味ツンデレ小説である(ぇ
「べ、別にあんたの(ry」


結構読み応えあったので75点くらい。