今日の一冊 059

出口のない海 (講談社文庫)

出口のない海 (講談社文庫)

読了。
横山秀夫の戦争ドキュメンタリーってことで速攻購入した一冊。


水中版神風、人間魚雷「回天」にまつわるお話。
舞台は第二次世界大戦末期の日本。
高校時代活躍して、大学で肘を壊したエース並木が主人公。
学生の徴兵免除が無くなり、並木も海軍に入ることを余儀なくされる。


序盤の並木がひたすらに「魔球」を追い求めるシーンと後半の軍隊でのシーンの対比がなんとも絶妙。
徴兵後、回天隊での訓練、実戦のシーンとか緊張感一杯で読んでてはらはらさせられた。
死を約束された生活ってのはどんな精神状態なんだろうと思った。
回天ってのはとんでもない兵器だなぁと。


あと、最後の最後で、並木は魔球を完成させるのだが…
終戦間近の訓練で謎の失踪。
その後、発見された並木の手紙は心を打たれる物があった。
思わず涙腺が緩みそうになった。
ラストは実にサラッとしてて、まさに風が吹きぬけて行くような感じ。

命の重みと戦争の悲しさ、はかなさを教えてくれる一冊。
90点。


9月に映画化されるらしいんで、ちょっとチェックしてみるかな。