今日の一冊 048

半落ち (講談社文庫)

半落ち (講談社文庫)

読了。
いわゆる警察物である。
社会派ミステリーっていうのかな。


表題の半落ちというのは、完全に自供しきってない状態を指す。
アルツハイマーの妻を殺して、自首してきた元警部。
妻を殺して後追いで死のうと思っていた彼なのだが。
動機やら経過は話すが、事件後自首までの空白の2日間は頑として語ろうとはしない。
空白の2日を巡って警察、検察ぐるみの隠蔽工作が…。
全6章、警察官、検察官、記者、弁護士、裁判官、刑務官それぞれの視点で描かれる物語は実に興味深かった。
組織に翻弄される者達の人間描写がなかなか良い。
ただ、被告が死ぬのを留まった空白の2日の秘密がなかなか明かされず、しかも最後の方で「こんな理由?」って感じでイマイチ共感を得にくかったかも。
まあ、「半落ち」だけにオチはおまけみたいなもんということでしょうかw
ラストは賛否両論かもしれないけど、作品全体としてはかなり秀逸。
読んでて面白かった。オススメできる一冊。
90点。


「T木E二は未だ寝落ちである…」 (本文より引用)